「ナウシカの飛行具、作ってみた」八谷和彦(13.09) 映画「風の谷のナウシカ」(84)に登場する飛行具『メーヴェ』の製作に挑んだメディアアーチストが取り組んだ2003年から一応の完成をみた2013年までの日々を綴った本。この手の本は好きなハズなのだが、どうもあまり共感を覚えず。なぜだろう?モーターパラグライダーでも用が足せるのでは?と思えてしまうせいか。ちなみに海外から取り寄せた120万円もする小型ジェットエンジンで飛ぶのだが、YouTubeで見ると滑走路を飛び立つまでがかなり頼りない。*「オープンスカイプロジェクト」で検索するとすぐ見つかる。
「大崎梢リクエスト!本屋さんのアンソロジー」(13.01) 書店を舞台にした10人の作家の短編集。トップバッターの有栖川有栖の作品が一番この本の趣旨に合っていたように思う。坂木司の作品もイイ感じで乗って行けそうな気がした。門井慶喜の場合はイイ着想だと思ったが、ちょっと懲りすぎでは?「寒いな」「寒いわね」。乾ルカの作品は書店員の気持ちを代弁していると思う。吉野万里子の作品はぐるっと回っても収まるサヤに収まるという話か。誉田哲也の作品には思わずニヤリとしてしまった。こういう演出は楽しい。大崎梢はいわばこの本の主催者だが、なんか題材が良くなかった。万引きは残念である。似鳥鶏の作品も残念である。懲りすぎだと思う。宮下奈都の作品は映画「異人たちとの夏」のような味わいでほんわか。ラストの飛鳥井千砂の作品は本を愛してやまない書店員の心は通じるという話か。
「料理の科学 素朴な疑問に答えます1」ロバート・ウォルク(12.12) 料理をしているときに感じる読者からの疑問に答える形式で話は進み、食品に関する化学的反応を分かり易く解説してくれる本。料理は妻任せの私だが知識として面白かった。「甘いものの話」「塩」「脂肪」「キッチンの化学」「肉と魚介」の5章からなる。でも続編の2の登録者数が1の半分以下だということは、日本人にはその米国風の比喩や言い回しのテイストが合わなかったのかも。その気持ち少し分かる。
「ご近所美術館」森福都(12.07) とってもライトな小説だ。舞台は個人経営の小さな美術館。主な登場人物はその美術館の管理運営を任された二人の姉妹(美人な姉とデブで生意気な同人雑誌のマンガ家の妹)と姉に恋して美術館に通い詰める若者。その3人が絡んだ日常生活で遭遇するミステリー7編の連作集で、最後は想定内のハッピーエンド。めでたし、めでたし。
「チーム」堂場瞬一(08.10) 駅伝関連本が店頭に並ぶ時期に何となく手に取った本だが、レース展開とともに主役が順次入れ替わる「駅伝」は小説家の想像力を大いに刺激するのだろう。駅伝小説でつまらなかった本は記憶にない。コレもまた読み始めたら止まらない本だった。学連選抜という寄せ集めのチームで、バラバラだった選手や監督の思いがゴールに向かって最後は一つになっていく。その展開に引き込まれた。
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